「でもごめん。……くく、まだおかしい」
「からかわないでください!」
「だってちょっと可愛いって思っちゃった」
「なっ……」
夢乃くんは女の子に慣れてる人だし、こういう頭をぽんぽんするのもなんてことないことだからきっと夢乃くんが言う可愛いに深い意味はない。
それでも私には十分すぎるぐらいのクリティカルヒットだ。
コロッケパンをゴクリと飲み込んで私は確認するようにもう一度夢乃くんに聞いてみた。
「……本気ですか?私と付き合ってるふりをするって」
正直自信がないというか、夢乃くんと私じゃ次元が違いすぎるから違和感しかない気がする。
「うん。そうしてくれると助かるんだけど」
……夢乃くんは悪い人じゃないと思う。
冷凍食品だけ適当に詰めたお弁当をお米一粒も残さずに完食して、わざわざこうして一緒に食べようと音楽室までやってきた。
きっと私なんかに頼るほど困ってるのかもしれない。
でも私は……。
「それに俺たち、なんだかんだ気が合うと思うんだよね」
「気が合う……ですか?」
「うん。なんかそんな感じがする」
夢乃くんは嬉しそうに微笑んでポケットからスマホを出した。
「とりあえず連絡先、交換しようよ」
「ね?」と反則的に可愛い言い方。夢乃くんに押し負けた私は言われるがままラインのIDを教えてしまった。



