世界が反転したように言葉が上手く出てこない。
「え、夢乃くん。じょ、冗談でしょ?」
みんな口をぽかんと開けて信じられないって顔をしている。もちろん私もそのひとり。
「冗談じゃないよ。俺、仁科さんと付き合うことにした」
たしかに夢乃くんは昨日彼女にならないかとおかしなことを言ってきた。
でも私は全然承諾してないし、あのあと夢乃くんのことが怖くなって隙を見て逃げたっていうのに、どうしてこんな展開になってるの?
「だからさ、もう休み時間もお昼もみんなとは一緒にいられないんだ。ごめんね」
夢乃くんがそう言うと「えー嘘でしょ?」とみんな大ブーイングで私の身体は固まったまま。
「じゃ、そういうことだから」と夢乃くんは私の肩を抱いたまま歩いて、私はあやつり人形のように付いていくしかなかった。



