恋愛はゲームのようにはいかない。

難しくて複雑で、好きになった人と必ず一緒になれるわけじゃない。


彩芽ちゃんは夢乃くんの答えを受け取るように深く深呼吸をした。


「……桐人が私を恋愛対象にできないことは分かってたよ。それでもやっぱり好きだから、桐人の優しさにつけこもうとしてたの」

そして悔しさと情けなさと悲しさで彩芽ちゃんはまた大粒の涙を流した。


「こんな私だれも好きになるわけないよ……っ。嘘ばっかりついて性格だって本当は……」

「バカじゃね?」

そう言ったのはずっと黙って様子を見てい音弥くんだった。


「お前が嘘つきなことも性悪なこともこっちはみんな気づいてんだよ。……気づいてて一緒にいるんだよ」

音弥くんは彩芽ちゃんを迎えにいくように歩き出す。


「だから泣くな。お前の好きものなんでもおごってやるから」

「うう……」

私が知らない3人の時間。

そこに入り込むことはやっぱりできないけれど、言葉では言い表せない絆があって羨ましい。


そして彩芽ちゃんと音弥くんはそのまま一緒に帰っていった。