夢乃くんにご注意ください



「教室まで一緒に行こうよ」

「今日ね、夢乃くんの好きなお菓子持ってきた」

「お昼みんなで食べようよー」

ひとりが声をかけると一斉にみんなが喋りはじめて、それは後輩、同級生、先輩関係なくあちらこちらで夢乃くんコールが。


「あはは、みんな朝から元気だね」

あっという間に人だかりができて、まるでバーゲンセールの売り場みたい。それが少し怖く感じるけど夢乃くんはニコリと可愛い顔を浮かべている。


……これが昨日言っていた当たり障りのない態度というやつだろうか。


「可愛いー」

「写メ撮っていい?」

きゃー、とみんなが湧いてさらに下駄箱に響く黄色い声援。

たしかに冷たい対応をして敵を作るよりはいいのかもしれないけどこれじゃ逆効果というかファンは増える一方なんじゃ……。

でも私には関係ない。


そう思って立ち去ろうとした瞬間、グイッと夢乃くんに肩を掴まれてそのまま引き寄せられてしまった。


「みんなごめんね。俺、彼女できたんだ」

……え、ええ!?


私の心と同じような雄叫びが女の子たちから聞こえてきた。