それは甘くて優しくて、夢乃くんみたいな味。


「ってかお尻痛くない?こっちに座りなよ」

そう言ってソファーを指さす。


「いえ、私は床で十分です!」

迷惑かけてるのにカフェオレまで作ってもらってソファーでくつろいじゃったら確実に罰が当たる。

夢乃くんは「ふーん」と言ってソファーに座った。後ろから視線を感じるけど、私は振り向くこともできなくて正座のまま。


「ワガママ言ってごめんなさい」

夢乃くんを困らせることだけはしたくないって思ってたのに。


「ん?これってワガママなの?」

「だってご迷惑じゃ……」

「迷惑なら家に来ていいなんて言わないよ。電話したのは俺なんだし、そんなに借りてきた猫みたいに小さくならないで」

夢乃くんの言葉にホッとした。


私はネガティブで、その吐き出せない欲求をゲームで満たしていた部分があるから乙ゲーに没頭できない今、新しい自分が見えてきて困惑してる。


「それよりさ」

「はい?」

安心したのも束の間に夢乃くんが後ろから手を回してきて、抱きしめるように耳元で囁く。


「また可愛い部屋着で家まで来ちゃってどうなるか分かってるの?」

「……っ」