「彩芽(あやめ)……?」
そんな中、夢乃くんと音弥くんがバッティングルームから出てきた。その名前を呼んだのは夢乃くんのほう。
「桐人!」
女の子は夢乃くんを下の名前で呼んだ。タッタッと小走りに夢乃くんに駆け寄って、私の横を通り過ぎていく。
………夢乃くんの知り合い?お友達?
でも私はすぐに気づいた。女の子を見た瞬間、夢乃くんの顔はひどく動揺していた。
「……音弥が呼んだの?」
「違うの、桐人。私がただ会いたくてたまたま連絡したら桐人と一緒にいるって聞いたから勝手に来たの。……迷惑、だったよね?」
ドキッとするぐらいの上目遣い。
こんな女の子に見つめられたら大抵の男の子は一発で落ちてしまうだろう。
「迷惑じゃないよ。ちょっとビックリしただけ」
すると女の子……いや、彩芽ちゃんは安心したような顔をした。
「よかった。久しぶり……だよね。元気だった?」
「うん」
やっぱり夢乃くんがいつもの夢乃くんじゃない。



