「なんなら腰ぬかすほどのすごいこと、今からしてあげようか?」

きゅーっとお腹ら辺が熱くなって、逃げられないし、どうにもできないし、考えて考えた末に私は夢乃くんへと手を伸ばす。そして……。


私は夢乃くんのほっぺたをむぎゅっと横に引っ張った。


「なにするの」

喋りづらそうな夢乃くんが目を丸くしている。


「わ、私をドキドキさせた罰ですよ!」

私だってやり返すときはやり返す。じゃなきゃ心臓がもたないというか、いつか壊れてしまう気がして。


「はは、可愛いことしないでよ」

夢乃くんは仕返しのように私のほっぺたをつねって痛くないけれど、夢乃くんがものすごく笑ってるから多分……。


「変な顔」

「ゆ、夢乃くんのせいでしょ!」


私たちは付き合ってない。

それなのに夢乃くんが私を彼女のような扱いをするから勘違いしそうになってしまう。