「……あ、あの、よく分からないんですけど、どうして私が夢乃くんの彼女にならなきゃいけないんですか?」
「んー、だってさ、周りに彼女がいるって思わせとけば俺への対応も変わるかなって」
「夢乃くんの都合で私に付き合えと?」
「うん。そう」
あっけらかんとした態度。
つまり私の都合は考えてないってことだ。夢乃くんの彼女になるなんて冗談じゃない!
静かで平穏な学校生活を送りたいし、なによりみんな私への感心がないからこうしてこっそりゲームもできたりするのに、いるだけで目立つ夢乃くんと接点なんて持ったら、その全てが崩れ去る……!
「すいません、ムリです」
私がそう言うと夢乃くんは……。
「えー、俺にそんなこと言っていいのかな?」と、悪い顔。
「仁科さんが乙ゲーやって誰もいない教室でニヤニヤしてたことみんなに言っちゃおうかな」
「なっ……」
「いいの?」
私を脅すように見つめたあと、今度は私の髪の毛をなぞるように触って毛先でくるくると遊んでいる。
リアル男子に免疫がない私はこれさえも我慢できずに、席を立とうとするとそのまま髪を引かれて、気づけば目の前に夢乃くんの顔。
「瑠花、今夜は寝かさないからな」
「……っ」
「だっけ?」
ドキッとする低い声を耳元で囁いたあと、また夢乃くんはいたずらっ子のような顔をして私をからかう。



