イジワル男子の甘い声



「す、すみません」


慌てて謝ってから、体をスッと横に移動させて柏場の道をあける。


「ったく。お前はどんだけ人の邪魔すれば気が済むんだよ」


「っ、」


横切りながらボソッと呟いた柏場に、思わず目をギュッと瞑る。


ごめんなさい、わかってます。
だけど…。


私は廊下を歩いて行く柏場の背中に視線を移す。


ダメ元だけど。
人の気持ちなんていつ変わるかわかんないんだから。

こっちだって、柏場になんて教えて欲しくないけれど…。

「あの、柏場くん!」


「無理」


うっ、ですよねーーー。


まだ何も言ってないのに断られてしまった。


まぁ、そうだろう。あんな奴に頼もうとした私がバカだよ。


「はぁ…一人でやるしかねーか」