イジワル男子の甘い声






キーンコーンカーンコーン


「先生っ!」


午後の授業が終わって、数学担当の先生が教室を出た瞬間、私は慌てて先生を追いかけて廊下で声をかける。


「お、今井。今日はちゃんと集中してたな。みんなすごい眠そうだったのに、お前だけ背筋が伸びてたぞ」


「えへへ」


「背筋だけ、な」


「えっ、」


厳しいと有名な先生に褒められてニヤついてたのも束の間。


「今日あげたプリント、ちゃんと復習しろよー。クラスの中でも特にひどかったぞ」


「あっ、はい!そのことなんですけど!質問が…」


だから走って先生を呼び止めたんだ。
わからないところはすぐ聞かなきゃって。



「あぁ、悪い今井。今から先生またすぐ3年の授業だから。3年棟遠いからまた今度な」


「へっ」


「それか柏場に聞くといい。あいつ数学の成績トップだから。それじゃ」


「えっ、ちょ!」


先生は引き止めようとする私の手を無視してスタスタと廊下を歩いて行ってしまった。