イジワル男子の甘い声



女が一人、ホームで泣いてるなんて恥ずかしい。周りに見られないように、必死で顔を隠しながら声を殺して泣く。


「っ、会いたい…」


こんな顔晒したら、また「ブス」なんて言われちゃうんだろう。
それでも、優からもらう言葉も声も全部、ちゃんと私の宝物だ。


こんなに胸が痛いのがその証拠。


また、呼んでほしい。


もう一回。


最後にもう一回、名前を呼んでほしかった。



「んな、女が一人で泣いてたら、変な奴に捕まるぞ」



へっ?!


重症だ。
幻聴が聴こえるようになってしまった。


「ほんっと、ブスだなぁ」


えっ?


大好きな、大好きな声がまた聞こえた。


さっきよりも、もっと鮮明に。


私は、ゆっくりと振り返る。

目の前には、ずっと会いたいと思っていた彼が立っていた。


「嘘…なんで…仕事…」


「んなもん終わらせてきた」


優の額には少しだけ汗が滲んでいる。