[優作 side]


「それで…全員が一歩踏み出せたってことだな。よかったじゃん」


「うん!これも全部全部ぜーんぶ!優のおかげだよ!」


翌日のお昼休み。
人気(ひとけ)のない外階段で、双葉が嬉しそうに、親父さんの同僚である里菜さんって人の話をしてくれた。


「バカ…俺は何も…」


「ううん。優のおかげ。優があの時、パパと向き合えって言ってくれたから。怖かったけど、本当に良かった」


こいつ、こんなに綺麗だったっけ、って最近無性に思うことが増えた。


今だって、静かに話す横顔も…。


双葉に『優』って呼ばれるたびに、ドキドキしてる俺に、こいつは気づいていないんだろう。


親父さんとのことが解決して、俺の知らない新しい友達って言う人ができて、よかったと思う反面、ほんの少し寂しかったりする。



こんなこと、口が裂けても絶対に言わないけど。