「里菜さんだって、すっごく素敵な人です。パパが好きになるの…わかります」
「へっ、えっ、へ?す、好き?」
「はい。パパ、里菜さんのこと好きですよ」
「っ?!な、な、何言ってるの双葉ちゃん!な訳ないでしょ!振られたのよ!んもう!」
里菜さんは顔を真っ赤にして熱くなった頬を冷やすように手のひらを頬に当てる。
あらら、本当に気づいていないんだ。
パパはきっと、私のことを想って自分の気持ち押し殺して断っただけだと思うけど。
「じゃあ、確かめましょう!」
「へっ?」
「里菜さん、これから時間ありますか?」
あなたが私の世界に踏み込んでくれたみたいに。
今度は私が踏み込んでみせる。
「え、暇だけど…」
「今日の夕食、一緒に作りましょう!よかったら…一緒にご飯、3人で、食べましょう!」
「双葉ちゃん…」
もっともっと、里菜さんを知りたい。
パパの好きな人とか、今後新しいお母さんになるかもしれない、なんて今は関係ない。
私は里菜さんと、友達になりたいってそう思えたから。
「早くしないと、タイムセールの時間に間に合いません!」
「う、うん!ありがとう双葉ちゃん!」
里菜さんが今日一番の笑顔を向けてくれて。
私たちは2人で、店を出た。