「…、り、里菜さん?」


「ううっ」


えっ?もしかして…。


「よかった…よかった…」


里菜さんが手を離すと、そこにはさっきまで笑顔を絶やさなかった顔が涙で濡れていた。


「里菜さん、…ごめっ、」

「ううん。私のほうこそ安心して…」


里菜さんは、テーブル横にあったペーパーナプキンで、ブーっと鼻をかんだ。


「ありがとう。ありがとうね、双葉ちゃん」


パパの仕事が大変で、私とパパがすれ違っていた時、パパを支えていたのはきっと里菜さんなのに。


お礼を言うの私のほうなのに。


「私こそ…ありがとうございます。えっと、よろしくお願いします」


「うん。っ、よろしくっ!あああ可愛い!」


「へっ、、 」


「もう私が生んだことにしたい」


「えっ、あの…」


この短い時間だけど、里菜さんがちょっと変わった人なのはよくわかった。発言が面白い。


「あぁごめん!気持ち悪いこと言ったよね!お前がこんないい子産めるわけないよね!」


「ぷっ、ははははははっ」


こんなに盛大に笑ったのいつぶりだろうか。