こんないい人だったのに、どうして私は避けたりしていたんだろう。


ううん。怖くて知ろうとしなかった。
知ってしまったら、パパと里菜さんのことを認めた気がして、パパが私の側からいなくなっちゃいそうで、里菜さんが言うように、怖かったから。


パパは里菜さんの中身を知った上で、私に紹介しようとしてくれてたのに。


今ならわかる。あのパパが嫌な人を好きになるはずなんてないんだもん。


でも…今の里菜さんの感じを見る限り、パパと両想いだって気づいてはいなさそう。


パパ、絶対に絶対に、里菜さんのこと好きだ。


「あっ、ごめん。泣かせるつもりはっ!私なんか変なこと言ったかな?ごめん!ただ双葉ちゃんと仲良くなりたくて…その…」


私よりずっと年上なのに、お茶目っていうか、大人っぽいのに可愛いっていうか。


きっと、里菜さんを好きになった人はたくさんいたはずなのに、里菜さんはパパを選んでくれた。


好きな人に娘がいるってきっと複雑なはずなのに。


「ううん。違う。安心して…ごめんなさい」


「安心…?」


「はいっ。私…里菜さんと、お友達になりたいです」


気なんて一切使ってない、心から出たセリフ。


「……っ?!」


目の前の里菜さんは突然手で自分の顔を覆いだす。