「り…里菜さん…」


「うん!」


静かに名前を呼ぶと、嬉しそうにくしゃっと笑う里菜さん。


見た目はちょっとクールそうなのに、意外にもそんな風に笑うからびっくりする。


この人が…パパの恋人かもしれない。
そう思うと、一気に胸がざわっとして、うまく笑えなくなりそうな表情を必死で隠す。


「私のこと…お父さんから何か聞いてるかな?あ、でも、話そうとしたら逃げられたって言ってたっけ…一度家にもお邪魔したんだけどね…」


「あ、はい。パパが誰か紹介したいって言ってたのは聞きました…家に来てたのも知ってます。だけど…」


里菜さんがすごく優しい顔をしてこちらをまっすぐ見るもんだから、なんだかこんな風にモヤモヤしてる自分が悪い気がして目が合わせられない。


「双葉ちゃん、今からちょっといいかな?お父さんからはお許しもらってるんだけど」


「えっ、あ…」


私の肩に手を置いて、少し撫でるようにした里菜さんの声に、思わず、


「はい」


と返事をした。