「ひえっ?」
突然ミカに名前を呼ばれて変な声がでる。
みんなはまだたわいもないおしゃべりやこれからの予定のことで盛り上がっている。
「あんたね、見過ぎ。なんかあったの?」
私の耳元で小声でそういうミカに、一気に体中から汗が出る。
「見過ぎ…とは…」
「柏場のこと」
「っ、」
やっぱりミカにはばれてしまった。
まぁ、私が彼を見過ぎなのがいけないと思うけど。
しかし、みんながいるところで優と付き合うことになったなんて流石に言えない。
優のことが恥ずかしいとか、そんなわけじゃなくて。騒がれるのは優だって苦手だろうし、きっと、『あんな奴のどこがいいんだ』なんて言われるのは目に見えている。
「近いうちにちゃんと吐いてもらう」
ミカは少し声を低くして再度私の耳元でそういうと、
「はいはーい!カラオケ行く人この指と止まれ〜」とみんなに声をかけた。
「ごめん。今日は私、帰るね。久しぶりにパパと2人でご飯食べるんだ」
「え、まじ?双葉いないとつまんないよ〜」
「残念だけど仕方ないね…」
「ごめんねっ、」
盛り上がるみんなに謝って、私は慌てて教室を後にした。



