「無理」
「えっ、ちょっ─────っ、」
優は静かに吐くと、突然私の唇を塞いだ。
っ?!
どうしちゃったんだろうか。
優は、学校では絶対こんなことしないって思ってたのに。
「っ、、う、優っ、」
優はキスをしながら、ゆっくりと私を校舎の壁に追い込んで、逃げられないように私の手を固定した。
「っはぁ、…ごめん」
少し息が荒くなった優はそう言って、私の首筋を優しく撫でた。
「だ、大丈夫、だけど…」
いや、大丈夫ではない。学校で、しかも外で、キスされたんだ。今にも死にそうなくらい心臓がばくばくだ。
「お前が変な顔するから悪い」
「変な顔って…」
「戻るぞ」
「えっ、ちょ、まっ」
何よそれ。
甘い彼に変身したのかと思ったら、すぐにいつものポーカーフェイスなんだから。
でも…。
触れられるたびに嬉しくて。
好きが積もる。
これからも、優と2人で、たくさんの思い出を作ろう。
私は、にやける口元を押さえて、そそくさと歩いてく彼の背中を追いかけた。