「動画サイトに歌を投稿し始めたのは、働けない親父の代わりに借金返済するためだったし、これ以上親父につらい思いさせたくなかったからだったけど…この今までの俺の気持ちとか全部、俺の存在自体も忘れられたのかって思ったら…」


話している、頑張って話してくれている優が誰よりも今辛いはずなのに。


私が泣いちゃうなんておかしいのはわかってる。だけど…。馬鹿みたいに止まらない。


海の波の音が、私の鼻をすする音を少しだけかき消してくれる。


「すっげぇ怖くなったんだ」


「うっ、ん」


涙を何度もぬぐいながら、優の話に頷く。


「すっげぇ怖くなって、双葉に会いてぇって思った」


っ?!


「えっ、…わ、、私っ?」


思わぬ自分の名前の登場に、驚いて少しだけ涙が引っ込んでしまった。