「違う。俺が話したいから話してる。知っててほしいんだ。けど、聴きたくないなら言って」


私はブンブンと首を横に振る。


「優のこと、全部ちゃんと知りたい」


「…、悪いな」


優が謝ることなんて何にもないのに。


「親父の入院が決まった時から月に1回とかと、親父の体調があるから本当会える時には行ってて…」


「うん」


「でも…あの日…」


優はギュッと手に力を込めて唇を噛む。


「親父、俺のことを忘れていたんだ」


「えっ…そんな…」


優のお父さんの病気のことは全然詳しいことはわからない。再婚相手の女性に借金を置いて逃げられてショックでって…。


まさか、自分の息子のことを…わすれる?


「そりゃ、薬の副作用でぼーっとしていたとか、久しぶりに会ったからって、言われたらそれもそうなのかもしれないけど。なんか、弟のために頑張ってるって言っておきながら、どこかでは、いつか親父に認めて欲しかった自分がいたのかもって」