「いや、寮の方が環境的にもあいつのためだと思うから。部活で忙しいみたいだしちょうどいい」
「そっか…」
「お前が雨に打たれて歩いてた日、あの日は瑞紀と父親と会う日で」
「えっ、」
ノアが言うには、優のお父さんは病気だって…。
「瑞紀と話したところまでは良かったんだ。相変わらず俺にちょっと気使ってて。けど…その後、父親のいる施設に行った時…っ、」
優の声が急に途絶えたので顔を伺うと、すごく悲しそうな顔をしていた。
「優、ごめん。無理に話さなくていいよ。辛かったら…」
優の心の傷の痛みを私は全部わかってあげられないのかもしれない。
優の全部を知りたいけど、それが彼にとって余計傷をえぐるものなら…。



