「このタイミングで呼ぶのはずるいから」


「だって…だから怒ってたんでしょ?」


「別に怒って…」


柏…優作くんは納得いかない様子で後頭部をガシガシとかいた。


「呼び捨てでいい。くんいらねーから」



「えっ、じゃあ、優って呼びたい!」


「は?」


「優作だと、ノアと同じ呼び方だし…私だけの呼び方がいい」



呼び捨てなんて恥ずかしけど、自分が彼の彼女なんだって証が今は欲しい。


優作でも、sakuでもない呼び方。


誰がみても、特別なんだって。


「勝手にしろ。早く行くぞ」


「うんっ、」


優が当然のように手を繋ぐことも、またに、双葉って呼んでくれることも、


自分が自分じゃないみたいに、嬉しくて何度もにやけそうになるんだ。


「優!次はどこに行くの?」


優、なんて自分で提案しておいて照れるけど。


「これ食いに」


優は反対側の手で持ってるカバンを見せてそういった。