今日は週末だし、人は特に多い。
繋がれていたはずの手は、エスカレーターを降りたと同時に離されてしまったから、
柏場の背中がどんどん遠くなる。
んもうっ。
何よ。プンプンしちゃって。
私だって…まだミズキさんのことを詳しく聞きたいし、私が彼女でいいのかまだ不安だし、モヤモヤやプンプンがあるよ。
「ゆっ、優作くんっ!」
私が彼の背中に向かってそう呼びかけると、ぴたっと歩く足が止まった。
あぁ、よかった。
ホッとして、彼の元へ駆け出そうとした瞬間、
─────ドンッ
「ったぁ!ボケッとすんなよ!」
肩に強い痛みと鋭い視線がぶつかって、ゆらっとバランスを崩す。
や、やばっ、、!!
「ほんっとまぬけ」
「かしっばっ、く、ん」
倒れる前に、走ってきた柏場が私の腕を引いてくれていた。
「危なっかしい。わざと?」
「っ、、」
何度彼に怒られれば気が済むんだろう私。