「どけよ、ブス」


っ?!?!?


彼女が顔を歪めながら見つめる目線にはヤツが彼女を見下ろして立っていた。


眉間にしわを寄せて私たち全員を睨みつけるそいつ。


っていうか、女子にブスって何?!


ぶつかったんだからまず謝るのが先でしょ!



「はぁー?柏場!あんたねぇ!」


「…ただでさえブスなんだから喚くなよ。朝っぱらから。ブスが増す」



っあ?!



「ちょっと、柏場くん、ひど────っ」


「はぁ?」



悪態をつく彼を止めようとしたら、彼の鋭い視線が飛んできたので思わず残りのセリフを飲み込んでしまった。


「なんなのよあれー」

「ほんっとサイテー」


「あれじゃ、突然誰かに刺されても文句言えないんだから」


スタスタと歩く柏場の背中を見つめながらみんな口々とそう言う。