「ゆ、…優作くん、」
「……っ、」
今、彼がどんな顔をしているのか見えない。
だけど多分、柏場がさっき言おうとしてたこと、それだよね。
「こんな素敵な場所に、連れてきてくれて、ありがとう」
「…あぁ」
初めて、下の名前を呼んだら、柏場は口角が上がった嬉しそうな声でそれだけ呟いた。
正直、星の説明をされてもあまりよくわからなくて。
なにがなんなのかわかんなくて、星座の形なんて本当にそう見えるのかもあやふやで。
だけど。
圧巻、とか、幻想的とか、
とにかく今私の脳みそにある言葉の引き出しにはぴったりの言葉が見つからない。
ミズキさんのことも、パパと例の女の人のことも。
自分の悩んでいることがちっぽけに思えてきて、でもその悩みすらすごく愛おしくて。
変な感覚だけど、本当にそうなんだ。
みんな同じ場所にいる。
私は、隣に座る柏場、ノア、ミカ、そして、
パパの顔を思い浮かべながら
散りばめられた、満点の星空を眺めた。



