ざわざわとしていた会場が、一瞬で静かになりみんながアナウンスの声に耳を傾けている。
ちょっと緊張して、用意されていたクッションをギュッと握る。
アナウンスの人が注意事項を説明し終わると、足元の照明の色が変わる。
細かい演出にもすごい凝ってるなぁ。
「それではっ!みなさんを星空の旅に案内しますっ!」
盛り上がったアナウンスの声がそういうと、360度全ての方向から、綺麗なBGMが流れ始めると、
バーーーーーンと、まるで大きなバケツをひっくり返したかのように満点の星空が散りばめれていて、それは繋ぎ目なく映されている。
なにこれ…。
こんなの初めて─────。
まるで異世界に飛び込んだみたいに、新しい世界。
ソファに寝転んだまま、もう涙が出そうになって、側にあった柏場の手を思わず握ってしまった。
でも、柏場はなにも言わずに、ゆっくりと優しく握り返してくれる。
心がかき乱されるって、こういうことを言うんだって。
広がる星空を見て、そう思った。



