[双葉side]



「お前の言う通りだと思う」


「へっ、」


柏場の玄関を出ようとした瞬間、ボソッと彼が話すので立ち止まる。


「過去のトラウマを引きずって、ずっと人との関わりをやめてた。その人たちはもういないのに」


「柏場くん…」


嫌な思い出を、私のせいで思い出したのなら悪いことをしてしまった。
言うつもりなかったのに、つい。


「そんな顔すんな。ブスがもっとブスだ」


「ちょっ、、」


さっき、あんなに甘い言葉をかけた人間とは思えない。

たしかに、私の名前を呼んでキスしたくせに。

なんて、頭の中で思い出して勝手に一人で恥ずかしくなる。



「お前はどーなの」


「えっ、」


「親父さん」


「あぁ…」


まさか、私とパパのこと、心配してくれてるのかな。それだとかなり嬉しいけど。


あんな風に避けて、どうやって話しかけていいのかわからない。


2人で今まで過ごしてきて、初めてのことだから。


「まだ諦めたらダメなんじゃねーの」


「……っ、うん、でも…」