「うん…」


「それでもしかしてあんた…柏場にいじめられたりしてるってこと?!変なことされてない?!なんでもっと早く言ってくれなか─」


「違う!違うよミカ!」


私の肩を揺らしながらまくし立てるように言うミカに慌てて声を出す。


「…違うの?」


「うん。私も最初はひどい人ってイメージしかなかったよ。だけど、逆なの。色々と親切にしてもらった方で…」


「はぁ?あの柏場が親切?あんた、柏場の告白現場目撃して嫌な思いしたの忘れたの?」


ミカは眉毛をこれでもかってくらい歪める。


「いや…忘れてないけど…」


今私の頭に浮かぶのは、柏場のあの少し幼くなった寝顔と、味噌汁をすすう顔で、正直嫌な思いをしたあの日の表情はあまり思い出せない。