「では本題」


「えっ、」


体育館に戻る道のり、シーンとした廊下に遠くから聞こえる授業の音。


その空気をかき消すかのように、ミカが立ち止まった。


「なんかあったよね、双葉」


「…ん、?」


こちらをジッと見ながら腕組みしているミカ。一体なんの話をしているのかまるでわからない。


「気づいてないとでも思ってるの?いや、みんながいるから話しづらいのかと思うけどさ…」


「え、ごめんミカ、なんの話して…私なら別に何にも…」



ミカが私の何を気づいたのかわからないけれど、私の全部を知られるのが怖くて全否定する。


みんなの中でも、ミカの中でも、私は学校での双葉でないと…。


「さっき、柏場のこと見てたんでしょう」


「えっ、」