「この子がぼーっとしててボールが顔面に当たっちゃったんですよ。氷もらえないかなって」
ミカはそう言って、私のおでこを先生に向けるようにする。
「あら…」
先生が心配そうに私の顔を覗く。
「うん。大丈夫そうだけど、痛み早く引くように持ってくるわね」
先生はそう言って、冷蔵庫から長方形の薄いもの持ってきて、慣れた手つきで私のおでこにピタッとはった。
「氷は大げさかもね。ほら、早く授業に戻りなさい」
おでこを触って、貼られた冷却シートを手のひらで確認する。
おお、これの方が楽かも。
私とミカは「ありがとうございましたー」と軽く頭を下げてから、保健室を後にした。
大したことない怪我といってもいいのかあやふやなそれのためにわざわざ保健室に行って冷却シートをもらうなんて。
なんだか恥ずかしい。
説明するったって「顔面レシーブしました」なんてダサすぎ。



