「そんなこと思うわけないじゃないですか!何を言って…。私はsaku、この人の歌声が素敵だと思ってるだけで…柏場くん本人のことは…なんとも」
「必死にそういうところますます怪しいな〜」
「っ、ありえないですから!」
なんてことを言うんだこの人は。
嫌なのに全然顔の熱が冷めない。
私が柏場を好きとか、なんかされたいと思っちゃってるとか、笑うって。
「わかったわかった。じゃあ、俺もういくね。なんかあったら連絡すること、いい?」
「っ、はい」
「仕事じゃなかったら俺がそばにいてやりたいのが本心なんだから。双葉ちゃんに頼むってことはそれくらい俺も双葉ちゃんのこと信頼してるってことだよ」
「……っ、」
彼の、まるで雑誌の表紙を飾る時のあのキラキラした笑顔を向けられると何も言えなくなる。
ノアは、少し柏場の寝顔を見つめてから、部屋を後にした。



