「その証拠に、歌でも歌ってあげようか?」
っ?!
よく通る、甘くて優しい声。
嘘でしょ。
ありえない。
誰か、これを夢だと言って。
すごく悪い夢だ。今すぐ覚めてほしい。
今、私の耳に届いたそれを信じたくない。
今、聞こえたそれは。
紛れもない…大好きなsakuの声。
「……っ、」
目の前の柏場はぼやけていて、彼を見つめたまま瞬きをすると、持ってた封筒に涙が一粒落ちた。
「嘘だよ…」
「信じたくないならいいんじゃない?」
「…っ、」
柏場がsakuのモノマネが超絶うまい奴だったとして、この大量のファンレターはどう説明すればいい?
ファンレターやプレゼントはちゃんと宛先を事務所にしていれば、事務所を通して、タレントに届くはず。
私だって、何度も何度も住所を確認した。



