目線を手紙からダンボールの中へと再び戻す。
どの手紙も『saku』の文字ばかり。
これって…。
「人との約束を平気で破る人間なの。それとも勉強しすぎて頭が本格的にいかれたの」
っ?!
「ひっっ!」
後ろから突然声がして振り返ると、そこには壁側のドア枠にもたれかかって呆れ顔でこちらを見てる柏場がいた。
「…なんで」
「はぁ?こっちが聞きたいんだけど。入るなって言われた部屋になんで入っ───」
「なんでっ、柏場くんが、私がsakuに書いたファンレターを持ってるの?」
全然意味がわからない。
パニックで回らない頭を必死に動かして、郵便屋さんが間違えてたまたま柏場のところに送っちゃったのかな、なんて考えもよぎったけど。
あの大量の手紙は?
全部間違えて送られてきたって言える?