「あ、失敗の正解っていうのはね、過去の失敗のお陰で次には成功に繋がるってことらしいんだけどね…っ、」


おかしいな。
柏場の前でこんな風になるなんて。
なんで泣きそうなんだろうか。


小さいアパートでパパと2人で過ごしてた日が恋しい。


「…また作ってやれば」


「へっ、卵焼きならいつも弁当に入れてるよ」


「そうじゃなくて…」


「…?」


まさか柏場が反応してくれるとは思わず、驚きで出てきそうになってた涙が引っ込んだ。


「ぐちゃぐちゃの卵焼き、入れてやればいい」


「えっ、そ、そんなことしたら多分、余計口聞いてもらえなくなっちゃうよ。前のパパとは…違うんだから」


さすが柏場なだけあって考えることもやっぱりイジワルだ。ぐちゃぐちゃの卵焼きを食べさせるなんて。


「ムキになるなよ。冗談だろ」


「は、はぁい?か、柏場くんのその怖い顔で冗談とか言われても通じないんだけど」