ホノルル空港の展望デッキで、ベンチに座り離着陸の飛行機を見ているのは真矢だ。


「ママ!」

 一回り大きくなった陸の声だ。

 陸の手を繋いでいるのは、お揃いの紺色のアロハシャツを着た大輔だ。



「よく飽きずに見ているよな…… もう一時間以上だぞ」


「僕なんて、アイスまで食べて来ちゃった」

 陸のうれしそうな声だ……


 真矢がゆっくりと立ち上がる。


 薄いピンクのハイビスカスの柄のワンピースの真ん中あたりは大きくなっている。

 そう、来月女の子が生まれる予定だ。


 陸が優しくお腹をなでる。


「そろそろ時間だ。行こう!」


 大輔がそっと、真矢の体を支えて歩きだした。


 到着口から、レイを首に掛け割腹の良い男がやってきた。


 その後ろを大きなスーツケースを二つ、その上に大きなバッグを二つカートに乗せて押しているのは谷口だ。

 荷物のすべてがおみやげだ。


「じぃじ!」


 陸が大きな声で叫び、一郎が両手を広げる。


 抱き合った二人の笑顔を…… 


 真矢がスマホを出し、


『カシャリ』 


 ユウへ送信……


 

        「完」