「さくちゃんの為だからね。」
少し得意げな顔をする先輩は卑怯だ。
“さくちゃん”と呼ぶ彼の声が好き。
佐倉葉月(サクラハヅキ)だからさくちゃん、
なんて単純なあだ名だけど、嬉しかった。
呼んでもらえることが嬉しかった。
「そうですか、
卒業おめでとうございます。」
ちゃんと笑えたかな、声震えなかった?
あれだけ練習したのに
これじゃいつもと変わらないよ。
呼び出した意味とか、雰囲気とか
想像してたものとは全く別物。
「ねぇ、冷たくない!?」
そんなことを言う先輩の顔は、
何故か楽しそう。
ドM?なんて言ったら怒るかな?
でも、いつも通りの先輩でよかった。
「だって先輩、調子乗るもん。」

