「平気だよ。...陽子さんは?先に戻ったはずなんだけど。」 「陽子なら、最後にもう一度だけ、院長先生に挨拶してくるってよ。」 「そう、なんだ...。」 今日は俺の退院日で、目が覚めてから初めて、『家』に帰ることになる。 父さんは引っ越してないって言ってたけど...問題はそこじゃない。 俺が『覚えている』か、どうかだ。