何度でも恋に落ちる

「だって、ここで待ってたら迷惑でしょ？」

「ちーなら迷惑じゃないよ」



翼はポンと千夏の頭を叩くと、並べられている夕食を食べ始めた。




「…じゃあ待ってるよ」

「うん。家に帰ってきてちーがいてくれたら嬉しい」



翼はニッコリ笑うと、千夏が作ったお世辞にも旨いとは言えない料理を全部食べ尽くした。



空っぽになった皿を見て、千夏は幸せそうに微笑んだ。




千夏が食器を片付けていると、バイトに行く支度を始める翼。



「じゃあ行ってくるよ。帰ってくるの夜中だから、先に寝てていいからね」


「ううん、起きて待ってる」


「わかった。走って帰ってくるから」



翼は千夏の頭を撫でると、バイトへと向かった。




１人になった静かな部屋。


でも翼の匂いがする部屋は不思議と寂しくなかった。




しかしやる事がない千夏は、本棚など翼の部屋を物色し始めた。


翼の部屋にある本棚は全文が英語で書かれた本や小説、外国の資料などが並べられている。



「本当に英語が好きなんだなぁ。何て書いてあるのか全くわからないよ」



千夏は英語で書いてある本のページを捲るが、全く読めない。