電車に揺られていると時折翼に注がれる女の子の視線。



「…隼人さんの友達じゃなかったら、私もあぁやって遠くから見とれてるだけだったのかな?」

「ちー、何か言った?」

「へっ?なっ…何でもない!!」



心の声を口に出していた事に気付いた千夏は口を手で覆う。


翼は首を傾げるとあることに気付き、千夏の肩を抱いた。




「え?えぇ!?何っ!?翼…」

「潰されて苦しいだろ?危ないからここにいな」



通勤ラッシュの時間帯の電車は、たくさんの人で混み合っている。


体が小さな千夏が人に揉まれている事に気付いた翼は、自分の腕の中に千夏を包み込んだ。




「ありがとう、翼…」



近くにある翼の顔が見れず、千夏は駅に着くまで俯いていた。



駅に着いた4人は大学までの道のりを歩く。



「翼は何科を専攻してるの?」

「俺は英文科だよ」

「英文科?通訳さんでも目指してるの?」

「まぁそんな所かな」



この人は背は高く顔も整ってるし性格もいいのに、頭までいいのかと思った千夏。