独り占めしても、いいですか?

「透君は、プロの演奏とか聴いたことがあるの?」



「ああ…というか…」



「透の母ちゃんピアニストだからな!

すげーだろ⁉︎

天沢 千夏って言うんだけどさ…」



「凛うるさい」



天沢 千夏…



知ってる。



私も颯斗にーと演奏を聴きに行ったことがある。



すごく優しい音色で、楽しそうで、ピアノ大好きな気持ちが伝わってくる、素敵な演奏だった。



確かに、言われてみれば、透君の演奏…似てるかも。



「だから、歌もピアノも上手なんだね」



確か、天沢 千夏さんは元ソプラノ歌手だったし…



なんで透君がこんなにずば抜けているのか…すごく納得した。



「お前は…」



「お前じゃなくて、私の名前は日和っ」



「悪い…日和は、いいものを持ってるな。

特に歌は」



急に褒められてびっくりした。



透君は嘘をつくタイプじゃないから、それが本音だっていうのがわかる。



だからこそ、余計にドキッとした。



「そ、そうかな…?

透君には敵わないと思うけど…」



「いや、日和の歌は…人を惹きつける力がある。

周りの反応にそれが現れてる」



周りの反応…



私は透君の歌の時と私の歌の時のみんなの反応を思い出した。



確かに、透君と私の時じゃ反応が違ったっけ…



人を惹きつける力…?なんて、よくわからないけど、褒められてるのだけはわかる。



なんか、嬉しいかも。