独り占めしても、いいですか?

「すごかっただろ⁉︎透の歌!」



凛君が自分のことみたいに嬉しそうな顔をして私に近づいてきた。



そういえば、昨日のバスでも透君は歌が上手いって言ってたっけ…



半分聞き流してた…



「……綺麗だった」



これは認めざるを得ない。



あんなに綺麗な歌、私でも颯斗にーでも歌えない。



バカにしてた幼稚園だけど、こんなにすごい才能を持った子だっているんだ…



胸の奥がポカポカした。



ぼーっとしたように透君を見つめていると…



「いいピアノだった。

……今度はお前だ」



透君が近づいて来て、そう言われた。



「…え?」



「歌えるんだろ?お前も。

俺がピアノを弾いてやる」



少しだけ口角を上げて笑った。



気がした。



透君以外、本当の歌ってものを知らない。



そんな低レベルなみんなの前で歌うなんて、冗談じゃない。



けど、胸が高鳴った。



こんなに綺麗な歌を歌う人が、どんなピアノを弾くのか。



きっと、想像がつかないくらいに…



そして、そんなピアノと一緒に歌える。



そう考えただけで、ドキドキが止まらない。