独り占めしても、いいですか?

「しょーがないなー!

んじゃあ最初は俺たちだけで…」



「凛君は黙ってて!」



「……」



「ちょっと!凛君に対してその態度は…」



「姫乃ちゃんも黙ってて!」



「……」



2人の歌は正直どうでもいい。



別に下手じゃないと思うけど、そこまで惹かれない。



凛君は磨けば光る気もするけど…




まあとにかく、この時の私はそれはそれは透君の輝きに夢中だった。



「お願い、透君」



真剣な目で見つめる。



「………」



何も言わずに真っ直ぐ私を見つめ返す透君。



やっぱり、嫌…かな?



私が透君のこと嫌ってる分、透君も私のこと嫌いだと思うし…



言ってしまえば、私だって透君なんかに頼みたくなかったし…



「…ピアノ弾け。

それができないなら歌わない」



「弾く!」



即答だった。



私はグランドピアノのある場所まで走った。



椅子の上によじ登って、鍵盤に手を添える。



ドキドキする胸を深呼吸で落ち着かせると…



ポロロン…



優しい音が教室に響いた。