独り占めしても、いいですか?

「日和ちゃんも、楽しく歌えたかな?」



先生に問いかけられてフルフルと首を振る。



歌ってるどころじゃなかった。



「もしかして、お歌…あまり好きじゃない?」



「……好き。

でも、みんなとは…歌いたくない」



「どうしてかな?」



「だって、みんな下手なんだもん」



私がそう言った瞬間周りがざわめき出した。



みんな…自分が下手なことにすら気づいてなかったのかな…?



かわいそう。



「そ、そうかな?

先生は、みんな上手だと思うよ?

日和ちゃんも、一緒に歌ったらきっと楽しいから、次は一緒に歌ってくれる?」



歌いたくない。



これが本音だった。



でも…



コクンッ



頷いておいた。



だって、先生が困ってるから。



みんなが私をチラチラ見ながらヒソヒソ話してるから。



誰かを困らせるのはレディのすることじゃない。



悪い意味での注目は今後の生活に悪影響を及ぼす。



颯斗にーとのレッスンで、そう習った。



「よかった!

じゃあ次は…『カタツムリ』の歌!」



また簡単な歌。



『きらきら星』に『カタツムリ』。



どっちも私がずっと小さい頃に習った歌。



きっとこれはウォーミングアップなんかじゃない。



この歌がこの幼稚園のレベルなんだ。



……つまんないの。