「ひよは、いいお姫様になれるよ」



「ありがとっ。

颯斗にーも…」



「颯斗、時間だぞ」



遠くから颯斗にーお父さんの声が聞こえた。



タイムリミット。



私も颯斗にーも悲しい顔をした。



「じゃあな、ひよ…」



「まって!」



そう言って颯斗にーにギュッと抱きついた。



「ちょっとだけ、お願い…」



「うん」



颯斗にーも優しく抱きしめてくれて、胸がいっぱいになる。



颯斗にーの匂い。



颯斗にーの声。



颯斗にーのあたたかさ。



全部が離れていってしまう。



唯一繋がっていることと言えば、25%くらいの血の繋がり。



従兄妹という目に見えない関係性だけ。



颯斗にーは今までの私の全てだった。



いつも一緒だった。



離れたことなんてなかった。



そんな大切な人が…遠い国に行ってしまう。