独り占めしても、いいですか?

私は2人に付いてドアの方へ歩いていく。



その間だけでも、クラスの人に見られるのが嫌で2人の陰に隠れながら歩いた。



けど、2人がいるからか、さっきみたいな怖さはなかった。



「あ、朱莉、Sanlightの所行くけど、朱莉も行く?

興味ないかもしんないけど」



「でも、ひよ姫も一緒に連れてくの!

絶対来た方がいいよ!」



ドアの直前で2人が立ち止まって、保健室の子に話しかける。



一瞬目が合って、お互いに目を見張った。



と、友達だったのっ…⁉︎



朱莉ちゃんっていう名前なんだ…!



「んー、まっ、そこまで言うなら?

芸能人のサイン持ってたら自慢できそうだし!」



そう言って私の方に目を向ける朱莉ちゃん。



「はじめまして、私、霧崎 朱莉(きりさき あかり)」



『はじめまして』っていう言葉に耳を疑う。



だけどすぐに、保健室でのことを秘密にしようとしてくれてるって気づいた。



凛と透が言い合いばかりの関係だってこと、言いふらさないって約束したから。



「あ…朱莉ちゃん…だね。

えっと、私の名前は…」



「ハハッ、朱莉でいーよ!

それに名前も知ってる。

雛咲 日和でしょ?よろしくね!」



「あっ、うん、えっと、よろしくねっ…!」



友達3人目っ!



軽く自己紹介も終わったところで、朱莉ちゃんも立ち上がり、一緒にクラスを出た。