独り占めしても、いいですか?

ツーっと一筋の涙が流れる。



「お前泣いてんのかよ」



その声でビクッと身体を震わせた。



「……冷めた。俺パス」



え………?



「あー?…っんだよ希。

つまんねー」



「泣いてる女はうざい」



冷たく吐き捨て、笹木 希は私から遠ざかっていった。



助かっ……てはないけど、少し救われた。



「まあ希はいつもあんなだからな〜。

俺は泣いてる方が高まるけど!」



そう言いながら西 風月の手が伸びてくる。



じわじわと近づいてくる手に怯えて後ずさり。



太陽が沈んで辺りが暗くなり、あの事件の時と重なる。



心の奥底に封印していた思い出が鮮明に蘇る。



恐怖で体が震えが止まらなかった。