独り占めしても、いいですか?

私は思い切って凛から顔を離し、女の子達の方を振り返った。



「あ、あのっ、サイン…は、ダメだけど…

お、お友達に…なって…くれませんか…?」



恥ずかしくなって下を向く。



友達の始め方なんて知らない。



高校生にもなって『友達になってください』から友達を始める人なんていないかもしれない。



けど、凛に頼ってばかりもいられない。



友達を作りたいなら、私が変わらなくちゃ。



「え、まじ⁉︎なるなる!

ひよ姫が友達とか、私達最強じゃん!

あ、私沙希!で、こっちが菜々子!」



「ねねっ、今からSanlightのメンバーにサイン頼みに行くんだけど、一緒に行かない?

ひよ姫いたら、ほぼ確実に貰えそうだし!」



その言葉で私の顔が輝いた。



今さっきまでの恐怖が嘘みたい。



スッと雲が引いて行くみたい。



なんだ、友達って、こんなに簡単に作れるものなんだっ。



秀ちゃんが『そう簡単に友達は作れない』って言ってたけど、そんなことない。



だって、もう2人も友達になってくれたんだもんっ!



「い、行きたいっ…!

凛、みんなの所、行ってくるねっ!」



私は無我夢中で、凛のそばを離れ、2人の元に駆け寄った。



「……気をつけてな。

なんかあったら俺らの誰かに頼れよ」



「うんっ!」