独り占めしても、いいですか?

「わりっ、日和のサインは俺達限定なんだ!

俺がサイン書くからさ、勘弁してやってくんねー?」



あっ…



凛が私の体をぐいっと引き寄せて守ってくれた。



助けに来てくれた。



女の子の顔が見えないように、私の体を凛の方に向けた状態で抱き寄せてくれる。



私はその優しい背中に手を回してギュッと抱きしめた。



怖さが溢れて腕が震える。



いつものことだから慣れなくちゃいけないのに…やっぱり怖い。



私の震えがわかったのか、凛が優しく頭を撫でてくれた。



ごめん、ありがとう、凛。



震えが次第に止まって胸がポカポカしてきた。



元気が出てきた。



これじゃダメだ。



これじゃ、いつもと何も変わらない。



凛に頼りっぱなしじゃダメだ。



「やった、りんりんのサインもらえる!」



その声が聞こえると、凛の手が頭から離れてた。



シャッシャッって、ペンを走らせる音が聞こえる。



私の代わりに、サイン書いてくれてるんだよね。