ゆっくりと校舎に向かって歩く凛の横顔を見上げた。



本当は、凛に告白しようかとも思って、特別なチョコを用意するか悩んだ。



けど結局作らなかった。



なんでかって言われると、少し答えづらい。



告白する気はあった。



前の私と比べて、今の私が変わったことも充分自覚してる。



今の私なら、凛の隣に並んでもいい気がしてる。



文化祭までの私とは違う。



何があっても、どんな自分でも、好きになれる自身がある。



けど…



釣り合ってるかって言われたら、よくわからない。



そもそも釣り合ってるって、誰が決めるんだろう。



どうなったら釣り合ったことになるんだろう。



そりゃあ、凛はアイドルで私は一般人で、そう言う視点から見たら釣り合ってないのかとしれないけど…



私が求めてる釣り合いは、地位とか身分とかじゃなくて、人間性としての釣り合いじゃないのかな?って思う。



人間性なんて曖昧なもの、誰が釣り合ってるかどうかを決めるんだろう。



第三者の意見?あるいは本人達の気持ち次第?



そんな風に深く考え始めたら止まらなくなっちゃって…



結局、告白は諦めた。



まぁ、今言わなくたって、これから先何度もチャンスはあるだろうしね。



いつか、きっと…



「ん?どうした?」



凛が私の視線に気づいて顔を向けた。



「んーんっ、なんでもないっ!」