独り占めしても、いいですか?

「あれ、俺の名前覚えててくれたんですか?

フルネームなんて長いし、翼とかでいいですよ〜」



ヒラヒラと手を振ってほんわか笑顔を私に向ける。



癒しのどストライクで、やばい。



秀ちゃんやアイドル直生君とはまた違う癒し。



オーラが、もう、お花畑。



「えっと、確かあなたは………えっと……

あはは〜」



あ、もしかして覚えられてない…?



自惚れとか、そんなんじゃなく、単純に驚いた。



一応ミス桜坂だし、一度会った人は大抵顔と名前を覚えててくれたから…



ちょっとだけショックだけど、それを『あはは〜』で誤魔化すあたりも可愛すぎる。



怒る気なんて、微塵も起きない。



「えっと、雛咲 日和って言います、よろしくね」



「雛咲…ひよ…り…?」



何故か私の名前を復唱。



えっ、な、なんだろう…



「あーーーー!」



突然の大声で思わずビクッとした。



な、何っ⁉︎



「俺!探してたんですよ!」



「わ、私を…?」



「そうです!」



そう言うと、手に持っていた紙袋をスッと私に差し出して…



「これ、姉ちゃんから預かってきましたっ」



満足そうに笑った。